lynch. HALL TOUR’19「ⅩⅢ-THE LEAVE SCARS ON FILM-」中野サンプラザホールライブレポート!

ライブレポート

おはニーハオ!

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2019/6/6

lynch.のホールツアー初日にあたる中野サンプラザホール公演

「ⅩⅢ-THE LEAVE SCARS ON FILM-」を観に行った。

今日はいまだ興奮冷めやらぬ中ライブレポートを書こうと思う。

ただ、まだツアー中ということもあり葉月青年(笑)も内容やネタバレを防ぎたいとのことだったので、ほぼ僕の感想のみで詳しい内容に関しては伏せながら書いていく。

 

 

今セットリストを再現したプレイリストを聴きながらこの記事を書いているのだが、散々と聴いてきたはずの『ⅩⅢ』というアルバムが全く別物のように感じる。

 

音源を聴いているとライブの映像がさながら白昼夢の如く蘇り、ホール鳴り特有のリバーブや葉月さんの煽り、ライブの歌いまわしの変化などが既成の音に上乗せされて聴こえてくるようである。

これまでにもライブに行った後に脳が音を補完するという現象はあったのだが、ここまでその現象が顕著で、改めて音源を聴くことが楽しいと感じることはいまだかつてなかった。

しかも不思議なことに『ⅩⅢ』以前の楽曲はまた違う形で変化して聴こえてくる。

『ⅩⅢ』は当初からホール映えする、という認識がファンにもメンバーにもあったのだが、それ以前の楽曲は逆にライブハウス映えするモノが多い。

このあたりの違いや『ⅩⅢ』とそれ以前の楽曲との違いを紐解いていこうと思う。

 

 

『ⅩⅢ』はライブで演じることで完成すると葉月さんが言っていたが、恐らくはこのアルバムが持つ「横ノリ」のグルーブによるところが大きいと感じた。

発売当初には90年代V系の香りがするとよく言われていた今作だが、その香りの原因を敢えて言及するならこの「横ノリ」とギターのコーラスエフェクトが要因ではないだろうか。

今回のホール公演を観ていてこれまでのlynch.では感じなかった「横に身体が動くグルーブ」が確かにあり、とても驚いたのと同時にとんでもなく気持ちよかったのだ。

それこそLUNA SEAやBUCK-TICKレベルのバンドに肩を並べる程のビッグなグルーブ感があった。

会場で鳴らしてこそ完成する観客と一体となれるグルーブ感、それこそが今作完成への残りのピースの一つなのではと僕は考えている。

 

これまでのlynch.は思わず頭を吹き飛ばしたくなるような縦ノリの激しい楽曲が多く、そのクオリティもシーン随一ではあるのだが、そんなバンドが横ノリのテイストまで繰り出してくるとなるといよいよ化け物じみてくる。

最近のtwitterを見ていてもlynch.ファンの年齢層が実に幅広くなったなーと感じたり、BUCK-TICKやLUNA SEAファンの方がlynch.に興味を示している文面を見かけたりするようになったのだが、今回のアルバムでバンドが身に着けた「横ノリ」という武器が古参のV系ファンの心に爪を立てたというところだろう。

では元々の「縦ノリ」は弱くなってバンドとして落ち着いてしまったのかというとそんな素振りは微塵もない。

むしろサウンドはより激烈に攻撃性を増し、観る者の脳天を揺さぶっている。

この二極の深化によりいわゆる「魅せる」部分と「攻撃性」の振り幅が大きくなり、ライブ一本を通して緩急の付け方がよりアダルトな雰囲気になったと言えば伝わるだろうか。

ライブはセックスに似ていると僕は考えていて、激しい楽曲だけではもちろん疲れるし、ゆったりした楽曲だけではやはり物足りない。

もちろん激しい楽曲が大好きでバラードなんて小休止、ぐらいに捉えている人も少なからずいるだろうし逆にスローな楽曲だけをゆっくり見て酔いしれたい人もいるだろう。

そんな様々な人の好みすら飲み込んでしまうほどにライブ一本として完成度が高すぎて、暴れたい派、ゆっくり観たい派みたいな概念を消し去ってしまうほど。

語弊があるかもしれないがあの場にいた様々な「世代」の様々な「感性」が、皆一様に満足して家路に着けるということはもはや「万人受け」するライブだったといってもいいぐらいだと思う。

 

 

そして僕の記事ではサウンド面に触れていこうと思う。

まずはホールといういつもと違う環境についてだが、会場が大きいということはやはりそれなりに音が反響することでサウンドが不明瞭になりやすい。

特に低音というのは強くローを出せば出すだけ、迫力とは無縁のぼわーっとした響きだけになってしまうものだ。

それに対し昔から聴こえやすい低音を意識していると玲央さんが言っていたが、そのタイトなサウンドメイクの効果が真に発揮されるのは今回のようなホール公演であった。

非常に引き締まったリズム隊の低音を土台とし、煌びやかに会場内を乱反射し全方位から貫いてくるようなギターサウンド。

会場の隅々まで行き届かせるように歌い上げるボーカル。

音源で聴く以上にどのパートが何をしているか聴き取りやすく分離しているのに、一度まとまると塊のように襲い掛かってくる。

 

悠介さんは以前までなかったアンプキャビネットが増えていたのと、いつもの黒のシェクターではなく茶色と白のテレキャスを一曲だけ使っていたと思う。

どの楽曲で使っていたか忘れてしまった…わかる人がいたらtwitterでDMください。

 

また、今回の中野サンプラザ公演で一番驚いたのはベースの音の良さだ。

下の存在感も稼ぎつつ変に低音が回ったりすることは一切なく、それでいて中低域のブリブリとした歪み感がギター、ドラム、ボーカル全てを繋ぎ合わせる接着剤として機能していた。

加えてスラップフレーズの打撃的な音の抜けも良く、全体を通してフレーズ感がとてもよくわかるサウンドだった。

10周年の時の新木場公演と比べても格段にベースが良くなっている。

右手のピッキングフォームが以前と違うように見えたがやはり人時塾のスパルタ特訓の影響だろうか。

あの芯のある歪み感はアンプやエフェクターだけでは成しえないと。

恐らく右手のピッキング強化によるところが大きいだろう。

 

そして以前にも増してツヤやハリを増した葉月さんの歌声。

今までよりも伸びやかに、広い会場の全員に歌を手渡しするかのようだった。

棘のあるシャウトはよりエグみを増し、一声叫ばれるだけで座席があることを忘れて身体が前のめりになる。

 

全員の「現在」放つことができる最高のポテンシャルを余すことなく融合したサウンドで、過去に観てきた公演の中でも抜群に最高のステージだった。

 

 

さて、僕の拙い文章で表現するのもそろそろ限界だ。

まだツアーは2公演残っているので実際に観て、聴いて、感じてもらいたい。

百聞は一見にしかず。

葉月さんの言う通り、画面の向こう側の人はあくまで現場にいる人間よりもそのライブの素晴らしさを理解することは出来ないのだから。

 

天すら手繰り寄せてしまう鴉達が今度は何を墜としてみせるのか。

僕か彼等の、どちらかの命が尽きるまで。

彼等の舞う世界をこの目で観続けるつもりだ。

 

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